ルヴァン
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Coffee & Bakery Arles
OUR STORY

80年の種を、
未来へ繋ぐ。

コーヒー屋とマスターの出会い

私が「コーヒー&ベーカリー アルル」の先代マスターと出会ったのは、私がまだ別の場所でコーヒーショップを営んでいた頃のことです。

当時からアルルはこの街で長く愛される存在でした。マスターは面倒見の良い方で、私のような若輩者にも温かく接してくれました。近所のお店の店主さんたちとアルルに集まってはイベントを企画していました。

ある時、お店でモーニングを始めるためにパンを探していた私に、マスターは「うちのパンを使ったら」と快く言ってくれました。マスターが焼く食パンは驚くほど風味豊かでおいしかったので、コーヒーとの相性も抜群。すぐにお客様の間で評判となりました。

私はお店で聞くお客様の「美味しい」という声をマスターに伝え続けました。するとマスターも喜んで、色々とお話してくれるようになりました。

「80年の種」を継ぐ決意

あるとき、マスターから相談がありました。「店とパンの種を継いでくれないか」ということでした。

その時マスターが語ったのが、「80年引き継いできたルヴァン種」の存在でした。

「ここには80年大切に育ててきた種がある。これを引き継いでパンを焼いている個人の店はもう減ってしまった。価値があるものだから、どうにか引き継いでほしい」

マスターは「週に1回くれば焼けるようになるから」と笑っていましたが、そんな言葉をかけられたら、引き継がないという選択肢はありませんでした。私は覚悟を決めて承諾し、自身のコーヒー屋もありながらも、アルルでの修行を始めることになりました。

「簡単そうに見えて、できない」

「週に1回」というマスターの言葉は、いざ始めてみると大違いでした(笑)。結局、毎朝通い詰めなければ何も身につかなかったのです。

職人としてのマスターの姿は、衝撃の連続でした。マスターがやると、パン作りが本当に簡単そうに見えるんです。しかし、いざ自分がやってみると、全くできない。バゲットの成形といった高度な技術以前に、「生地を丸める」「切り分ける」「持ち上げる」といった基本動作すら、思い通りにいかないのです。

「手の使い方、体の使い方が根本から違う」。長年コーヒーを淹れてきた私の手は、パンという生き物の前では全くの無力でした。それでもマスターは、厳しくも温かく指導してくれました。

マスターは最後まで一生懸命にパンを焼いていました。そして教えてくださいました。パンの焼き方を、そして小さなクロワッサンの売り方まで、全てを私に教え込もうとしてくれました。その姿を見て、私も「ちゃんと受け継がないと」と、より強く思うようになりました。

物語は、次の80年へ

マスターの想いと、80年受け継がれてきた「ルヴァン種」を絶やすわけにはいかない。その一心で、私は今日までパンを焼き続けています。

アルルに毎日のように通ってくださるお客様がたくさんいらっしゃいます。そうした地域の方々の存在が、今の私の原動力です。

80年前から生き続ける菌たちと、向き合う毎日。その日によって変わる「顔色」を読み取り、微調整を重ねる。そんな日々の繰り返しを、これからも大切にしていきたいと思っています。先代から託されたこの種を、また次の世代へと繋いでいくために。

ご予約・取り置きはお電話で:06-6393-3970

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